「スクリーンで見たい!」。
一人ひとりの感動が渦となって、たった8分間のアニメーションが奇跡をおこした。
kishibe
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人が人を想い続ける切なくも美しい気持ちを、わずか8分の物語の中に豊かに謳いあげた奇跡のアニメーション『岸辺のふたり』。2003年6月にDVD発売後、静かで深い感動の波は広がり続け、「スクリーンでぜひ見たい」という熱いリクエストが殺到、ついに翌年35mmプリントでの大スクリーンでの上映が決定した。わずか8分間の上映時間の短さとともに、DVD発売後のロードショーは、世界でも異例な出来事。日本からのこの信じられない劇場公開のニュースに、マイケル・ドュドック・ドゥ・ヴイット監督自身も驚いた。そして今度は一年を通じての再上映。
・・・12月、あなたもこの奇跡に出会ってください。

2001年米国アカデミー賞、英国アカデミー賞をはじめ数々のアニメーション映画祭で激賛をもって迎えられ、ロシア・アニメの巨匠ユーリ・ノルシュテインに「この作品に初めて出会った時『これは事件だ』と思った」とまで言わしめた。
見終わった後に残る強い感動と余韻。濃密で静謐な時間を与えてくれる『岸辺のふたり』は、いつまでも自分の宝物としてそばにおいておきたくなるだろう。 

デザイン、ストーリー、そして監督と三役を務めたマイケル・デュドク・ドゥ・ヴィットは、オランダ生まれの世界的な評価を受ける映像作家。 『岸辺のふたり』では、最新のデジタルセルアニメーション制作システム「ANIMO」を使い、極めてシンプルながらも深い味わいのある絵づくりに成功した。セリフを一切使わず、アコーディオンとピアノによる背景音楽によって、その絵はますます雄弁に語りかけてくる。 音楽監督は、『老人と海』『木を植えた男』など名作をてがけてきているノルマン・ロジェと、『大いなる河の流れ』のドゥニ・シャルラン。今回、彼らが選んだ曲は、日本でも愛されている「ドナウ川のさざ波」で、哀愁を帯びた旋律が清澄な世界を一層深めている。  

8分間の永遠(エタニティ)。
あなたの大切な人はいま、どこにいますか?

幼い娘を置いて、岸辺からボートに乗って行ってしまったまま戻ることはなかった父。 遠い日の父の面影を求めて、娘は父と最後に別れた場所である岸辺を訪れ続ける。

少女から大人へ、そこはまた彼女の成長を記す場所でもあった。 繰り返される四季。移り変わる自然。 それでも変わらず、娘は岸辺に立ち止まり、父を想う。 そうして時は過ぎ、そのひたむきな強い想いはある奇跡を起こす__ 。