心の親友と呼べるぬいぐるみ。いつか外国を旅する夢。初めて出来た友だちやおじいちゃんの家で楽しく過ごした時間…。春夏秋冬の季節の中で綴られた、ごくシンプルで懐かしいお話はガラクタも宝物もごちゃまぜに詰め込んだおもちゃ箱そのもの。開けたとたんに、心にしまっていた幼いころの思い出ばかりか、その当時の匂いやぬくもりまでもが蘇えり、忙しい日々に忘れていたやさしい気持ちとゆったりと流れるひとときを与えてくれます。
ルドヴィックたちテディベアはもちろん、彼らのお家、ベッドやテーブル、ティーセット、オルゴールに木馬、蓄音機などスクリーンに映し出される全てが手作り。心がこもった丁寧な表情や職人技の質感が、独特のやさしい世界を生み出しています。監督・アニメーション・撮影をたった1人でこなすコ・ホードマンは、あわせてわずか48分という4作品に5年もの歳月を経て完成させました。彼の並外れた情熱と才能は、巨匠・若手を問わず国内外のクリエーターたちに多大な影響を与え続けています。


 

“ホードマン作品を日本で見られる幸せ”

 コ・ホードマンの『テディベアのルドヴィック』が四季4部作となってここ渋谷に再びやってくる! 再びというのは4年前にもホードマンさんは国際交流基金の招聘のもと、渋谷に滞在して『テディベアのルドヴィック』の「雪の贈り物」「ワニのいる庭」をはじめ、多くの作品をアニメーション関係者に紹介し交友を深めたのです。この時、氏の誠実な人柄に直接触れることができ、アニメーションに対する純粋な思いが、私の『頭山』完成への大きな原動力となりました。
 私とホードマン作品との出会いは、高校生の時テレビで見ていたアカデミー賞の受賞式の、オスカーを獲得したホードマン監督の『砂の城』が流れた時で、『頭山』のアカデミー賞ノミネートまでの氏とのご縁を感じます。その後、私はトロント国際児童映画祭で初めて、お孫さんとの暮らしの中で最初のアイディアが浮かんだという、ルドヴィックの前半2作を見たのですが、その時このような高品質で、子どもだけでなく、大人も楽しめる短編アニメーションが日本でも見る事ができるといいのにと思っていました。
 ホードマン作品の最大の魅力は、童心に溢れた純粋な心が感じられる所だと思います。撮影もアニメートも自身でこなすホードマン氏のアニメーションは、フィルムの1フレームごとに子ども達とかつて子どもだった大人達に対する愛情がこもっているのです。
  山村浩二(アニメーション作家/『頭山』監督)


 

   
 
Copyrightc 2004 Crest International Inc. All rights reserved.