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■解説

もういちど、運命のロマンスに出会える幸せ


 名匠ジェイムズ・アイヴォリー(『日の名残り』『ハワーズ・エンド』)の作品の中でもっとも明るくもっとも美しい眺めに満ちた映画『眺めのいい部屋』。制作から15年を経た今も、多くのファンの胸に「心に残る愛の名作」として刻み込まれ、その輝きを失うことはない。
 本作は、1986年に公開されるや大ヒットを記録、その年の米アカデミー賞をはじめ数々の映画賞を受賞。日本でも1987年7月に初公開され、ロングランヒットとなり、「眺めのいい」という言葉が流行語になるほどのブームを巻き起こした。

 この映画を、いつまでも古びれず、見る人が年齢を重ねるごとに深く味わえる名作たらしめているのは、主役のみならず小さな脇役にいたるまで見事な調和を奏でるキャストの素晴らしさと、その魅力をさらに輝かせる美術・衣装・音楽・撮影の全パートの奇跡的ともいえる完璧さである。
 主人公ルーシーを演じるのは、『ファイト・クラブ』のヘレナ・ボナム=カーターで、当時まだ20歳。ルーシーの旅に付き添う年長の従姉シャーロットには、名女優マギー・スミス。その他、新作『ギャング・オブ・ニューヨーク』で久々の映画界復帰を果たした美しき演技派ダニエル・デイ=ルイス、そしてジュディ・デンチ、デナム・エリオットらの見事なアンサンブルは今見てもいっそうの輝きを放っている。
 また、イタリア最高の映画賞ダヴィッド・ディ・ドナッテルロ賞でも最優秀外国語映画賞に輝いた実績は「どんな堅物をも情熱的にさせる」と言わしめるイタリアの魅力を描いた映画として本家イタリアも高く評価した作品といえるだろう。