も の が た り 　 どこまでも青い海と空がつづくペルシャ湾の島、キシュ島。 いつもどことなく呑気な警備兵は、きょうがいつもと違う日だと知る。 選挙の日だ。空からパラシュートで、投票箱がふってきた！ 小さなボートに乗ってやってきた選挙管理委員は、まだ若い女の子だ。 きょうの仕事は、彼女が票を集めて回るのを、軍のジープでお供すること。 こうして女の子と青年兵士のちぐはぐで微笑ましい道中がはじまった。 神さまに投票してしまう老人、「投票しても魚が獲れない」という漁師・・・。 島の人たちは女の子を困らせるが、彼女は一所懸命、投票をよびかける。 やがて青年は、優しい気持ちを抱きはじめた。 もうすぐ午後5時。女の子が帰る時間が近づいてきた。 しかし兵営所に着いてみると、どうやら、迎えの船は行ってしまったらしい。 がっくり肩を落とす女の子。そこで兵士は、僕も選挙しようと、声をかけた。 しかし、兵士が投票用紙に書いた名前は・・・。