岩波ホールセレクション Vol.1 「抵抗と人間」
抵抗 死刑囚の手記より
[解説]世界映画史の中でも孤高な位置を占める、ロベール・ブレッソン監督(1901−1999)の代表作の1本である。寡作で知られ、『スリ』(59)、『少女ムシェット』(67)等でも、プロの俳優を使わず、音楽に頼らずに、感情を抑えた表現を貫いた。そして自作を映画と呼ばずにシネマトグラフと呼んだ。本作を観たジャン=リュック・ゴダール監督は「ドストエフスキーがロシアの小説に、モーツァルトがドイツの音楽に占める位置を、ブレッソンはフランス映画に占めている」と語った。原作は、1954年に発表されたドゥヴィニー少佐の手記だが、ブレッソン自身もドイツ軍の捕虜になった経験がある。原題は「ひとりの死刑囚が逃げた、あるいは風は自らの望むところに吹く」といい、「風は‥」は、ヨハネによる福音書の第3章第8節から引用された言葉である。撮影は実際にリヨンのモンリュック監獄で行われた。[物語]1943年、ドイツ占領下のフランス・リヨン市で、フォンティーヌ中尉は、脱走不可能で知られるモンリュック監獄に入れられた。彼は独房で脱獄のための準備を入念にはじめる。仲間をとおしてカミソリや安全ピンを手に入れ、食事のスプーンを研いでノミをつくり、ドアを少しずつ削る。そんなある日、仲間のオルシニが脱獄に失敗し、銃殺された‥。
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