岩波ホールセレクション Vol.1 「抵抗と人間」
海の沈黙
[解説]フィルム・ノワールの伝統を引き継ぐ『サムライ』(1967)、『仁義』(1970)で知られるジャン=ピエール・メルヴィル監督(1917−1973)の処女作。原作は、大戦中、ドイツ占領下に地下出版されたヴェルコールの同名小説である。伯父と姪、2人のフランス人が、同居するドイツ人将校に「沈黙」をもって抵抗するという内容に、強い感銘を受けたメルヴィル監督は、戦後すぐに映画化に着手した。自らのプロダクションによる、極めて低予算で製作された本作は、セットを使わず、すべてロケ撮影、主人公3人の演技でドラマが進行するという画期的なものだった。そのためにヌーヴェル・ヴァーグを先駆する作品といわれている。撮影のアンリ・ドカは、後にルイ・マル監督『死刑台のエレベーター』(57)、トリュフォー監督『大人は判ってくれない』(59)などで、ヌーヴェル・ヴァーグを代表するカメラマンとなった。[物語]1941年、ドイツ占領下のフランス地方都市。1人の老人とその姪が暮らす家に、ドイツ軍将校ヴェルナーが同居することになった。ヴェルナーは音楽家で、フランス文化に尊敬の思いをもち、毎夜、その気持ちを老人たちに語るが、彼らは沈黙をもって答える。そんなある日、ヴェルナーは休暇を利用して、念願のパリを訪れる。そこで彼が知った事実は‥。
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